Business for SDGs 共創型事業実践研究会

大阪会場

プログラム【大阪開催】全6回

新型コロナウイルス感染拡大の影響による開催延期に伴い、現在、2020年9月以降の開催予定で調整しております。
新たな日程・内容が確定次第、本Webサイトにてお知らせいたします。
また、開催延期に伴い、講師・講座内容等が変更される場合があります。予めご了承ください。
  •  第 1 回 
  •  第 2 回 
  •  第 3 回 
  •  第 4 回 
  •  第 5 回 
  •  第 6 回 


「未来はあなたの中にある」

2020年5月23日(土) 10:00 – 18:00 日程調整中
会場:近日中に決定

未来開拓や事業哲学に通ずる歴史観・生命観・時代観。
工業化社会の功罪、アートの本質、人間の可能性、社会ニーズを市場化する未来型事業の構想方法等。


 基調講演・特別講演 

基調講演 「時代が求める未来像・企業像・人財像」
企業を取り巻く経営環境が厳しさを増す中で、多様化する社会ニーズに応える企業となり、常識や経験則に囚われない未来志向の発想で新規事業を立案するには何が必要なのか?その中で大学の果たす役割や産学連携の重要性を交えつつ、ご講演いただく。

学校法人立命館 常務理事 立命館大学 教授 建山 和由 氏  【詳細】

特別講演 「複雑なものを複雑なまま受け止める  ~ “知” のこれまでとこれから~」
能楽師であり、米国のボディワーク・ロルフィングの専門家であり、論語を教える教師であり、また、あふれる知的好奇心からプレイステーションのゲーム制作にも携わり、甲骨文字や中国古代哲学、シュメール語などにも精通する、まさに「知と身体の巨人」である安田登氏の特別講演。

能楽師 安田 登 氏  【詳細】

歴史観・時代観・未来観 

講義 「工業社会の功罪~未来のために、百年の愚行を直視する~」

「百年の愚行」編集ディレクター 小崎 哲哉 氏  【詳細】

対談式講義 「未来変革に必要な歴史観・時代観・未来観」
私たち人類は高い知能と社会性を有し、限りない発展を遂げている。しかし今一度、その発展と引き換えに失ったもの、今まさに壊れゆくものたちに目を当て、人類の愚かな一面を直視することも重要ではないだろうか。それは決してネガティブな行為ではなく、むしろこれまでの延長線上ではない、持続可能な新たな未来構想のために必要なステップと言えるだろう。ここでは、「百年の愚行」編集ディレクターの小崎氏を招き、未来のための新たな価値観について考察する。

「百年の愚行」編集ディレクター 小崎 哲哉 氏  【詳細】
アミタホールディングス株式会社 代表取締役 熊野 英介

参加企業紹介 

各社15 分の自己紹介
自社ビジョン、社会的存在意義、コアコンピタンス、所属、参加動機、現在の課題 など


※プログラム外 対話会(会場内立食を予定)(約60分)


「創発的思考の学び」

2020年6月13日(土) 10:00 – 17:30 日程調整中
会場:近日中に決定

過去の経験や常識に囚われず、自社自身のポテンシャルを引き出し、新たな価値を創造する手法を学ぶ。
システム思考、デザイン思考、SEDAモデルの基礎を第一線の講師が解説。


 システム思考の学び 

講義 「SDGsを達成するためのシステム思考実践講座」
ワーク 「システム思考による課題解決演習」
システム思考とは、複雑な状況下でさまざまな要因のつながりと相互作用を理解し、もっとも影響を与える構造のツボを見極め、望ましい変化を創り出すためのものの見方である。
問題の見えやすい部分を近視眼的・表層的にとらえるのではなく、大局とつながりの全体像を捉え、根本にある原因、前提、目的を問い直した上で、他の分野や将来への影響を勘案し、効果的かつ持続的な働きかけを考える。システム思考の第一人者、小田氏にその基礎をワークを交え解説いただく。

有限会社チェンジ・エージェント 代表取締役 小田 理一郎 氏 【詳細】

 デザイン思考の学び 

講義 「SDGsを達成するためのデザイン思考実践講座」
ワーク 「デザイン思考による課題解決演習」
デザイン思考という言葉と5 つの段階(観察/ 共感、問題定義、アイデア創出、試作、検証)は聞いたことがあっても、それが通常の業務プロセスとどう違うのかわからない、という人が多いのではないか。真の顧客視点とは何か、顧客自身が気づかない潜在的ニーズをどう掘り起こし、課題設定するのか、デザイン思考の基礎を学びながら、さらに企業の意思・提供価値・ビジョンを明確に打ち出すデザイン経営について理解する。
また、デザイン思考を体験・体感するワークは講義と同じく、経産省・特許庁のデザイン経営宣言のパートナー企業であるロフトワークの多田氏に担当いただく。

株式会社ロフトワーク シニアディレクター 多田 麻央 氏  【詳細】

講義 「デザイン経営事例:事業を通じた「未来価値」の創造」
デザイン経営を実践する企業、ジャクエツは独創的かつ安全な遊具の開発、空間づくりを生業としている。本業を通じて社会全体の未来価値の創造を目指す同社代表の徳本氏に、その経営哲学とリアルな取り組みをお聞きする。

株式会社ジャクエツ 代表取締役 徳本 達郎 氏 【詳細】

 統合的価値創出の本質 

講義 「機能的価値+意味的価値=統合的な価値づくり」の理解
統合的価値創出のためのフレーム「SEDAモデル」は意味的価値と機能的価値、問題提起と問題解決を軸にしたマトリックスで表される。SEDA とは、Science(機能的価値 × 問題提起の領域)、Engineering(機能的価値 × 問題解決の領域)、Design(意味的価値 × 問題解決の領域)、Art(意味的価値 × 問題提起の領域)の頭文字だ。社会が求める価値を提供し続けるために必要なメソッドを、SEDAモデルの提唱者である延岡教授に学ぶ。

大阪大学 教授 延岡 健太郎 氏  【詳細】

※プログラム外 対話会(会場内立食を予定)(約60分)



「コアコンピタンス×社会ニーズ=?」

2020年7月4日(土)10:00 – 17:50 日程調整中
会場:近日中に決定

前半:妥協の産物”を生まない真に全体最適となる企画立案方法 & 自社のコアコンピタンスを活かした社会課題解決事業の事例分析。
後半:未来型事業構想のためのバックキャスティング手法の習得 & 地域課題の現状と本質。


 VUCAな時代の事業企画

講義 「“妥協の産物” を生まない、真に全体最適となる企画立案手法」
不確実で複雑なこの時代に、過去の経験則や関係者の力関係に縛られていてはイノベーションなど起こせるはずもない。「デザイン科学(design science)」の視点から、真に全体最適となる合意形成と企画立案の手法を事例を交えて解説いただく。

立命館大学 教授 徳田 昭雄 氏 【詳細】

 事業事例の解説

講義 「豊かな関係性を生み出す“森林× 酪農” の6次化ビジネス」

森林ノ牧場株式会社 代表 山川 将弘 氏 【詳細】

講義 「思想と理想の融合!良品計画の食のデザイン事業」

株式会社良品計画 販売部 カフェ・ミール担当部付部長 河合 祥太 氏 【詳細】

鼎談 「森林ノ牧場から読み解く未来志向型のビジネス設計」
里山の荒廃や希薄化する関係性といった社会課題の解決をテーマに立ち上がった「森林ノ牧場」。その事業コンセプトや事業戦略を深堀しながら、これからの時代に求められる未来志向のビジネス
設計について議論する。ゲストは森林ノ牧場のソフトクリームを扱う良品計画カフェ・ミール事業のリーダーと、立命館大学の経営学部教授で地域経済・地域産業にも造詣の深いラウパッハ氏。

森林ノ牧場株式会社 代表 山川 将弘 氏 【詳細】
株式会社良品計画 販売部 カフェ・ミール担当部付部長 河合 祥太 氏 【詳細】
立命館大学 教授 ラウパッハ・スミヤ ヨーク 氏
アミタホールディングス株式会社 代表取締役 熊野 英介

 バックキャスト手法 

講義 「世界的社会課題・環境制約の将来予測と社会ニーズ」&「変革の予兆~未来を変えるサステナブルビジネス事例」
ワーク 「 未来予測からのバックキャストで考える自社の存在意義」
将来的な環境制約や社会ニーズといった情報をベースに、未来の「ありたい姿」に立脚し、そこから現在に立ち戻ってやるべきことを考える未来起点の思考法をワークショップを通じて学ぶと共に、自社の存在意義を見つめなおす。

一般社団法人NELIS代表理事 ピーター D . ピーダーセン 氏  【詳細】

講義 「合宿に向けて:ローカルな社会課題の現状」
立命館大学の山口教授を迎え、第4 回の合宿に向けたインプットを行う。SDGsで取り上げられる社会課題が濃縮したような日本の過疎地域の現状、合宿地域のポテンシャルと固有の課題、地域課題発生の
メカニズム等について解説する。

立命館大学 教授 山口 洋典 氏  【詳細】
アミタ株式会社 代表取締役 末次 貴英 

※プログラム外 対話会(会場内立食を予定)(約60分)

「地域課題の本質を知る」(1泊2日合宿)

2020年8月28(金)- 29日(土) 日程調整中
会場:近日中に確定

過疎が進む大阪府北摂地域(茨木市)を訪れ、地元企業や学生との対話を通じ、地域課題の現状と本質に迫る。
2日目は統合的価値創出による地域課題解決のケーススタディを実施。

※詳細は近日中に確定

最終演習「社会ニーズを市場化する」

2020年9月26日(土) 日程調整中
会場:近日中に確定

参加企業のコアコンピタンスの掛け合わせによる創造的事業の企画立案ワーク。

※詳細は近日中に確定

最終発表会「ここに未来がある」

2020年11月14日(土) 日程調整中
会場:近日中に確定

参加企業の役員を招いた事業構想発表会。各発表に対し、役員の方々、参加者、講師陣から講評・フィードバックをいただく。

※詳細は近日中に確定

あるべき未来像の実現に挑戦する

 いま、世界は大きく、かつ急激に変わりつつあります。これまでの経験に基づいて培ってきた価値観が根底から覆されるような大きな変化が起こるかもしれません。我々は、将来を見通すことが極めて困難な時代を迎えています。

 そのような時代において立命館は、将来の社会を予測してそれに合わせて自らを変えていくのではなく、将来の社会のあるべき姿を積極的に提起し、その実現に向けて果敢に挑戦する学園を目指すべく、「挑戦をもっと自由に」というビジョンを掲げました。

今こそ「ヒトの発想と意思」が問われている

 国は今、AIやIoT、ロボットなどの先端技術が社会を大きく変えていくことを想定し、それらを活用して様々な社会課題の解決を図るSociety 5.0を掲げています。しかし、それらの先端技術を使うのはヒトです。これからのヒトには、それらを活用して将来可能な世界を思い描き、その実現に向けて働きかける力が求められます。これほどヒトの発想と実行力が問われる時代は近年無かったかもしれません。

 社会の変革の多くは、どんなに大きな変革であっても元をたどれば一人の発想とそれを実現しようとする意志から始まっています。誰も何もしなければ、世の中は何も変わりません。その意味から、共創型事業実践研究会にかかわらせていただき、創造的イノベーターを目指す皆様と一緒に次の社会を考えることのできる機会を得たことは、立命館にとって非常にありがたいことだと思っています。多くの方とお会いできることを楽しみにしています。


建山 和由 氏:1985年に京都大学工学部土木工学科卒業後、同大学で修士号、博士号を取得。1985 年から京都大学工学部助手、講師、助教授を経て、立命館大学理工学部教授、学校法人立命館常務理事に就く。建設施工にICTを活用して生産性や安全性の改善を目指す研究に取り組むとともに、それを社会的な取り組みに広げる活動を行っている。

 人工知能(AI)が人類の能力を超える転換点、またはそれがもたらす世界の変化のことをシンギュラリティ(技術的特異点)という。過去にこれと同レベルの技術的特異点があったとすれば、それは文字の発明ではないか、と安田登氏は語る。能楽師であり、中国の古代哲学や甲骨文字、シュメール語等にも精通する安田氏はまさに「知と身体の巨人」であり、氏の講演会は常に知的興奮に溢れている。今回のテーマは「“知”のこれまでとこれから」だ。

<以下安田氏による紹介>
 文字の誕生によって、事物は2次元化(平面に記録)され、あらゆることを自分で記憶しなくともデータとして参照することができる「脳の外在化」を実現した。3次元(変数が3つ)のものを「2次元(変数が2つ)化」するということは複雑な事物の「微分(differentiation=区別)」であるといえる。文字化の過程は「分ける」ことで「わかる」を生みだした。それは「論理」を生み、プログラミング言語を生み、コンピュータを生み、統計を生み、AIを生んだ。

 しかし、ビッグデータによる演算結果に対し、私たちは“なんとなく” しっくりこないことがある。私たちを取り巻く事象は、すでに2次元化されたデータでは説明がつかなくなっている。これからは複雑な事象を「わかる(わける)」のではなく、複雑なままに受け入れる精神作用が必要なのだ。

 文字という2次元化は視覚と密接に関係している。しかし、今後複雑なものを複雑なままに受け入れるには視覚以外の身体性に注目してみる必要があるだろう。また、脳の外在化は脳の中に余裕を生み、「知」という精神活動を生みだした。漢字の「知」の初出は『論語』であり、温故知新の「知」である。すなわち既知の事項を脳内で発酵させているうちに、突如として全く新しい方法や知見の出現を誘引する、それが「知」であった。いま到来しつつあるAI 革命は、文字の誕生を超える、脳のさらなる外在化を生み出すだろう。それはこれまでの「知」という概念に代わる、新たな精神活動の発明を私たちにもたらすかもしれない。



安田登 氏:能楽師(下掛宝生流)。東京を中心に能の舞台に出演するほか海外での公演も行う。また、シュメール語よる神話の欧州公演や、金沢21世紀美術館の委嘱による『天守物語』の上演など、謡・音楽・朗読を融合させた舞台を創作、出演する。著書多数。NHK「100分de名著」講師・朗読(平
家物語)。

 『百年の愚行』。それは人類が経済発展と物質的豊かさを求めた余りに犯した歴史的愚行の写真を収めた書籍だ。アウシュビッツ、チェルノブイリ、水俣病、密猟、森林破壊、大気汚染・・・。夥しい写真が訴えているのは、人類の愚かさと共に「我々が変われば未来も変わる」という大いなる希望だ。歴史の一端を担い、未来の子供たちにこの地球を受け渡していく現代の当事者として、今こそ、一人一人が自らの命の意味とその可能性に真剣に向き合い、何をすべきかを問うていく必要がある。

 『百年の愚行』の編集ディレクターで、『現代アートとは何か』の著者でもある小崎氏は語る。「あらゆる事象は見えない糸でつながっている。現代において、自社の活動が世界の人々の暮らしや生態系にどのような影響を及ぼしているのか、その実態を知ることは容易ではない。しかしだからこそ、複雑な世界の成り立ちに思いを馳せ、歴史という縦軸と同時代という横軸の両方に学び、良質なインプットからイノベーティブなアウトプットを生み出していく必要がある」「アートの役割は娯楽ではない。多義的な世界のありようを表現し、同時にあるべき世界の姿を想像せしめることである」と。

 一義的な答えを求めず、多義的に歴史と社会を見る目を養うことで、アウトプットはおのずと変化する。本プログラムの第1回において、『百年の愚行』の写真を見ると共に小崎氏のお話を伺うのは、既成観念を脱色し、未来変革を行う希望を実感するためだ。


小崎 哲哉 氏:ジャーナリスト、アートプロデューサー。京都造形芸術大学特任教授。同志社大学講師。ウェブマガジン『REALKYOTO』発行人兼編集長。著書に、人類が犯した愚行を集めた写真集『百年の愚行』(編著)および『続・百年の愚行』、グローバル社会における現代アートの価値を問うた『現代アートとは何か』などがある。

 『百年の愚行』。それは人類が経済発展と物質的豊かさを求めた余りに犯した歴史的愚行の写真を収めた書籍だ。アウシュビッツ、チェルノブイリ、水俣病、密猟、森林破壊、大気汚染・・・。夥しい写真が訴えているのは、人類の愚かさと共に「我々が変われば未来も変わる」という大いなる希望だ。歴史の一端を担い、未来の子供たちにこの地球を受け渡していく現代の当事者として、今こそ、一人一人が自らの命の意味とその可能性に真剣に向き合い、何をすべきかを問うていく必要がある。

 『百年の愚行』の編集ディレクターで、『現代アートとは何か』の著者でもある小崎氏は語る。「あらゆる事象は見えない糸でつながっている。現代において、自社の活動が世界の人々の暮らしや生態系にどのような影響を及ぼしているのか、その実態を知ることは容易ではない。しかしだからこそ、複雑な世界の成り立ちに思いを馳せ、歴史という縦軸と同時代という横軸の両方に学び、良質なインプットからイノベーティブなアウトプットを生み出していく必要がある」「アートの役割は娯楽ではない。多義的な世界のありようを表現し、同時にあるべき世界の姿を想像せしめることである」と。

 一義的な答えを求めず、多義的に歴史と社会を見る目を養うことで、アウトプットはおのずと変化する。本プログラムの第1回において、『百年の愚行』の写真を見ると共に小崎氏のお話を伺うのは、既成観念を脱色し、未来変革を行う希望を実感するためだ。


小崎 哲哉 氏:ジャーナリスト、アートプロデューサー。京都造形芸術大学特任教授。同志社大学講師。ウェブマガジン『REALKYOTO』発行人兼編集長。著書に、人類が犯した愚行を集めた写真集『百年の愚行』(編著)および『続・百年の愚行』、グローバル社会における現代アートの価値を問うた『現代アートとは何か』などがある。

世界のプレイヤーが注目する「システム思考」
~共創のための構造のツボ(レバレッジポイント)の見出し方~

不確実かつ不安定な「VUCA」の時代、企業を取り巻く事業環境や社会環境はますます乱気流に包まれていく。自国ファースト、分断化の圧力が広がると同時に多様性や包摂を重んじるSDGsが推進され、企業もまた、ESG、CSVなど公共善に向かうリーダーシップが求められている。在来型の思考法、すなわち、「境界」内で要素還元する、線形に「目標」に向かう、今起きている出来事に対処する思考法はその限界を露呈し、むしろ分断化と部分最適を助長している。

そこで、注目を浴びているのがシステム思考である。システム思考では、出来事レベルで対処するのではなく、パターンを見出して大局を俯瞰する。そのパターンを創り出す要因のつながりと相互作用の構造を見極め、その根本にある目的や前提を問い直す。そして、レバレッジポイント(小さな力で大きな変化を起こせるポイント)を見出し、システムそのものの変容を促すことでビジョンを実現するアプローチである。また、デザイン思考などイノベーション・プロセスの基盤をなす。

本講座では、システム思考の第一人者である経営コンサルタントの小田氏に、システム思考の基本的な考え方とツールについて、事例を交えて紹介いただく。

システム思考は複雑・不確実な状況下において、大局・全体像・根本を見るものの見方・思考法

システム:2 つ以上の要素がつながって相互に作用し合う集合体

小田 理一郎 氏:米国オレゴン大学経営大学院経営学修士修了。多国籍企業で10 年間、製品責任者・経営企画室長として業務・組織変革の実践に取り組む。米国での起業を経て2005年、有限会社チェンジ・エージェントを設立。人材育成、組織開発、チェンジ・マネジメント等の研修、コンサルティング、執筆等に従事している。

“デザイン” は、企業の意思・提供価値・ビジョンそのもの。
成長企業は今、デザインを経営戦略の中心に据えている。

 2018 年5月、経済産業省と特許庁は「デザイン経営宣言」という資料を公開した。この資料には、『デザインは、企業が大切にしている価値、それを実現しようとする意志を表現する営みである。顧客が企業と接点を持つあらゆる体験に、その価値や意志を徹底させ、それが一貫したメッセージとして伝わることで、他の企業では代替できないと顧客が思うブランド価値が生まれる。さらにデザインは、人々が気づかないニーズを掘り起こし、事業にしていく営みでもある。誰のために何をしたいのかという原点に立ち返ることで、既存の事業に縛られずに、事業化を構想できる。(一部略・編集)』とある。

 イノベーションの本質は「技術革新」ではなく「社会変革」である。社会変革におけるデザイン思考の重要性は、アップル、ダイソン、良品計画、マツダ、Airbnb、IBMなど、デザインを経営戦略の中心に据えている企業群を見れば明らかだ。欧米のある調査では、企業がデザインに投資するとその4 倍の利益を得られるとしており、デザインの効能はすでに世界の常識となっている。

今回は、経産省・特許庁のデザイン経営宣言のパートナー企業であるロフトワークの多田氏に、企業におけるデザイン思考の基礎解説とワークショップを担当いただく。

参考:経済産業省HP:デザイン経営宣言


多田麻央 氏:音大在学中にITスタートアップでのインターンを経験後、2014 年にロフトワークへ入社。新規事業機会の開発に向けたリサーチ、新規事業創出プログラム設計、ワークショップデザインなどのプロジェクトを担当。人が持つクリエイティビティを開かせる場の設計やファシリテーションを模索している。

あそびを通じて子どもと社会の「未来価値」を創造する

 創業100 年を超えるジャクエツは、子どもたちに最高の教育・あそび環境を提供することで、社会全体の未来価値を高めることを目指す企業だ。子どもの可能性を引き出す独創的かつ安全な遊具の開発、空間づくりを通じて「社会課題を解決するクリエイティブイノベーション」を実践。それを叶えているのは、デザイナーや人類学者、異業種企業等との「共創による事業構想」だ。

 ゆるぎない企業理念を掲げ、本業で子どもたちの笑顔と長期的な社会価値を生み出し続ける同社代表の徳本氏に、その経営哲学と具体取り組みをお話しいただく。


徳本 達郎 氏:1963 年、福井県生まれ。1986 年、株式会社若越(現ジャクエツ)入社。06 年より現職。株式会社ジャクエツは1916年創業。幼稚園・保育園施設の設計施工、保育教材や遊具の製造販売にとどまらず、美術館や商業施設などの公共施設にあるキッズスペースへ質の高いあそび空間づくりを提案している。

高度化する顧客ニーズに応える
「機能的価値+意味的価値=統合的な価値づくり」の理解

 システム思考とデザイン思考の基本を学んだあと、最後を締めていただくのは、経営戦略、技術経営の専門家である大阪大学の延岡教授だ。

近年、日本の製造業が直面している問題は、求められるイノベーションの内容が変容している点に起因している。機能の高さや技術スペックなど形式的な「機能的価値」を超えて、消費財であれば、心地よいユーザビリティや心を動かされるデザイン、生産財であればソリューション提案など、「意味的価値」が競争力を左右するようになった。このような暗黙的な顧客価値を創出するために、日本企業は、目標設定も含めて抜本的な変革が求められている。

本講義では、高度なモノづくり技術を活かしながら、新たな顧客価値を創出するためのイノベーションに必要とされる。

要件を明確にしていただく。特に、機能的価値と意味的価値を合わせた統合的な価値づくりを考えるためのフレームワークとして、SEDAモデルを取り上げる。技術的な機能を目指す科学(Science)と工学(Engineering)、顧客にとっての意味と価値を付加するデザイン(Design)とアート(Art)の頭文字である。SEDAの統合的価値を創出するためのマネジメントのあり方を解説いただく。


延岡 健太郎 氏:1981年大阪大学工学部卒業、マツダ入社。88年マサチューセッツ工科大学MBA、93年同Ph.D。94 年神戸大学経済経営研究所助教授。08 年一橋大学イノベーション研究センター教授。18年大阪大学経済学研究科教授。専門は経営戦略、技術経営。主な著作:『MOT[技術経営]入門』『価値づくり経営の論理』。

妥協の産物を作らない、「あるべきものの探求」プロセス

 新規事業アイディアや事業改革案の多くは、関係者の力関係や社会的・政治的思惑、過去の経緯・経験則等々に揉まれるうちに、当たり障りのない「妥協の産物」と化していく。

 本講義では、「デザイン科学(design science)」を研究する立命館大学の徳田教授に、「妥協の産物」ではない真に全体最適となる企画を立案するにはどうすればよいのか、具体的なケーススタディ(あるべき国際標準の策定)を交えて解説いただく。


徳田 昭雄 氏:立命館大学経営学部教授。専門は経営戦略論、企業間ネットワーク論、研究テーマは「オープンイノベーション・システムの経営学的考察」「欧州連合の研究・イノベーション政策の分析」など。

「豊かな関係性を生み出す “森林×酪農” の6次化ビジネス」

栃木県那須町の「森林ノ牧場」の牛乳は何度飲んでも新鮮な驚きがある。放牧された牛が、季節折々の山の恵みを食すことで、牛乳の風味も年間を通じて移り変わるのだ。一定品質が良しとされる大量生産大量消費型の一般的な牧場とは全く異なる事業モデルなのである。

森林ノ牧場は2007 年、京都市京丹後で産声を上げた。事業コンセプトは『見捨てられたものを商品にし、無関心を関心に変える』と『五感+知覚=記憶に残る事業』。今、日本の里山の多くが、管理が行き届かず荒廃の道を歩んでいる。こうした里山で牛を放牧すると、牛が山を歩き周って地面をならし、下草を食べることで日光が地面に届き、間伐などの作業がしやすくなる。飼育できる頭数は限られるが、自然の餌を食む牛たちは健康で、得られる牛乳はそのストーリー性と美味しさから市場で高い評価を受ける。自然のポテンシャルを活かしたビジネス設計だ。2009 年には那須に事業展開。社会課題解決型のビジネスであり、かつ生産者が加工と流通・販売も行う6次産業モデルとしても注目を浴び、現在年間15,000人を超える観光客を迎えている。訪れた人々は、森林と暮らしの関係や食産業への関心を深めて帰る。牛乳は飲食店などに原材料として提供され、域内の食と暮らしに貢献している。また生産される乳製品は、地域のレジャー施設や飲食店他、無印良品の系列であるCafé&MealMUJI で提供されるなど、那須地域以外にも展開中だ。今回は、代表である山川氏に、仕入れ・生産・出口戦略といったビジネスモデルの設計から今後の事業構想までお話いただく。


山川 将弘 氏:1982 年生まれ。中学時代に放牧酪農に憧れ、東京農業大学で酪農を学び岩手や京都で実践し2009 年に那須町に移住。森林に仕事をつくり「田舎に暮らすをつくる」を目指す牧場として、今後は他地域への展開も計画。

「サステナブルな食」を通じた社会デザインの実践事例

 森林ノ牧場のソフトクリームは、良品計画が運営するCafé&Meal MUJIでも提供されている。その背景には、デザイン経営実践企業としても有名な同社の事業哲学があった。

 “「良品」とは何か?その提供すべき価値とは?” を追求し続ける企業が、疲弊する地域生産者、食文化の衰退、自然資本の劣化といった社会課題にどう向き合うのか。サステナブルな食を通じた社会変革に挑戦する食品事業部のキーマンに、ビジネスデザインのリアルを語っていただく。


河合祥太 氏:複数企業で飲食店の料理長、事業運営、新規事業立ち上げ等を経験し、2017年に(株)良品計画に入社。カフェミール事業部の責任者として、過去や常識に捉われない破天荒な手法で、既存店舗の売上・利益向上、新規出店、他社とのコラボ事業、地域生産者の発掘、社員育成等を手掛けている。

「豊かな関係性を生み出す “森林×酪農” の6次化ビジネス」

栃木県那須町の「森林ノ牧場」の牛乳は何度飲んでも新鮮な驚きがある。放牧された牛が、季節折々の山の恵みを食すことで、牛乳の風味も年間を通じて移り変わるのだ。一定品質が良しとされる大量生産大量消費型の一般的な牧場とは全く異なる事業モデルなのである。

森林ノ牧場は2007 年、京都市京丹後で産声を上げた。事業コンセプトは『見捨てられたものを商品にし、無関心を関心に変える』と『五感+知覚=記憶に残る事業』。今、日本の里山の多くが、管理が行き届かず荒廃の道を歩んでいる。こうした里山で牛を放牧すると、牛が山を歩き周って地面をならし、下草を食べることで日光が地面に届き、間伐などの作業がしやすくなる。飼育できる頭数は限られるが、自然の餌を食む牛たちは健康で、得られる牛乳はそのストーリー性と美味しさから市場で高い評価を受ける。自然のポテンシャルを活かしたビジネス設計だ。2009 年には那須に事業展開。社会課題解決型のビジネスであり、かつ生産者が加工と流通・販売も行う6次産業モデルとしても注目を浴び、現在年間15,000人を超える観光客を迎えている。訪れた人々は、森林と暮らしの関係や食産業への関心を深めて帰る。牛乳は飲食店などに原材料として提供され、域内の食と暮らしに貢献している。また生産される乳製品は、地域のレジャー施設や飲食店他、無印良品の系列であるCafé&MealMUJI で提供されるなど、那須地域以外にも展開中だ。今回は、代表である山川氏に、仕入れ・生産・出口戦略といったビジネスモデルの設計から今後の事業構想までお話いただく。


山川 将弘 氏:1982 年生まれ。中学時代に放牧酪農に憧れ、東京農業大学で酪農を学び岩手や京都で実践し2009 年に那須町に移住。森林に仕事をつくり「田舎に暮らすをつくる」を目指す牧場として、今後は他地域への展開も計画。

「サステナブルな食」を通じた社会デザインの実践事例

 森林ノ牧場のソフトクリームは、良品計画が運営するCafé&Meal MUJIでも提供されている。その背景には、デザイン経営実践企業としても有名な同社の事業哲学があった。

 “「良品」とは何か?その提供すべき価値とは?” を追求し続ける企業が、疲弊する地域生産者、食文化の衰退、自然資本の劣化といった社会課題にどう向き合うのか。サステナブルな食を通じた社会変革に挑戦する食品事業部のキーマンに、ビジネスデザインのリアルを語っていただく。


河合祥太 氏:複数企業で飲食店の料理長、事業運営、新規事業立ち上げ等を経験し、2017年に(株)良品計画に入社。カフェミール事業部の責任者として、過去や常識に捉われない破天荒な手法で、既存店舗の売上・利益向上、新規出店、他社とのコラボ事業、地域生産者の発掘、社員育成等を手掛けている。

未来予測からのバックキャストで自社の存在意義と競争力を考える

 ピーター・ドラッカーの「すでに起こった未来― 変化を読む眼(ダイヤモンド社 (1994/11/1発売))」を読んだことがあるだろうか。不確実で曖昧、かつ急激に変化する現代を生き抜くビジネスパーソンに必要な視座と示唆に満ちた名著である。ここに示されている政治・経済・社会・企業の仕組みと変化をしっかりと見据え、社会課題や環境課題を事業チャンスに転換するためのインテリジェンスを身に着けること。そして社会ニーズを満たすソーシャルビジネスで自社と社会の持続性を高めていくという気概と手法が、今世界中の企業に求められている。

 市場の価値ドライバーが価格から品質を超えて価値観・パーパス(存在意義)へと移行する中、未来の「ありたい姿」に立脚し、バックキャスト的計画手法をマスターすることが、未来市場適応型の競争力を獲得・維持するために必要不可欠となる。

 本講座では、世界のサステナビリティ経営に精通する大学院大学至善館特任教授、ピーター D. ピーダーセン氏を講師に迎え、未来予測データ、機会転換へのアプローチ、パーパスドリブン企業の強み、そして価値を生むバックキャスト手法への取り組み方について、多面的に講義いただく。

<バックキャスト手法>
ある事柄において、目標となるような未来の状態・状況を想定し、そこから現在に立ち戻って“やるべきこと” を考える未来起点の思考法。


ピーター D. ピーダーセン 氏:1967 年デンマーク生まれ。日本在住28 年。1995 年から環境経営・サステナビリティ経営に携わり、2000年に(株)イースクエアを共同創業、2011年まで社長を務める。2015年、次世代リーダーのグローバルネットワーク、一般社団法人NELISを共同創業。2019年、大学院大学至善館特任教授および同大学内のCenter for Sustainability and Innovationセンター長に就任。

価値の調整と新たな価値創出のための関係構築

 社会は絶え間なく変化する。そして変化をするのであれば、よりよい方向へと導かれる方が、持続可能な社会の実現に近づくことは言うまでもない。その際に重要になるのは、何をする(あるいはしない)「べき」かという価値の調整と、新たな価値の創出に向けた関係構築である。

 本講義では、問題解決の担い手が現場でどのような人間関係を織り成していけばいいのか、歴史的・社会的・文化的な側面から分析する手法について解説いただく。


山口 洋典 氏:専門は社会心理学、特にグループ・ダイナミックス。ネットワーク型まちづくり、災害復興、サービス・ラーニングなどをテーマにアクションリサーチを展開する。著書に『ソーシャル・イノベーションが拓く世界』(法律文化社、共著)など。立命館SDGs推進本部事務局長。