Business for SDGs 共創型事業実践研究会

東京会場

プログラム【東京開催】全6回

新型コロナウイルス感染拡大の影響による開催延期に伴い、現在、2020年9月以降の開催予定で調整しております。
新たな日程・内容が確定次第、本Webサイトにてお知らせいたします。
また、開催延期に伴い、講師・講座内容等が変更される場合があります。予めご了承ください。
  •  第 1 回 
  •  第 2 回 
  •  第 3 回 
  •  第 4 回 
  •  第 5 回 
  •  第 6 回 


「未来はあなたの中にある」

2020年5月15日(金) 9:30 – 18:00 日程調整中
会場:近日中に決定

未来開拓や事業哲学に通ずる歴史観・生命観・時代観。
工業化社会の功罪、アートの本質、人間の可能性、肉体と知性のあり方等を4人の表現者が語る。


 基調講演・特別講演 

基調講演 「心の音」
武蔵野美術大学は90 年の歴史と伝統を有する日本屈指の美大である。その伝統校が今、次代に向けたイノベーションを起こそうとしている。多くの国や企業、自治体、そして個人が「何が問題か、すら分からない問題」に直面する現代に、『beyond the rules !』すなわち、既存のルールを超えて自ら未来志向の創造的思考力を持つ組織となり、かつそうした人財を育成することを目指しているのだ。開講記念として、デザインを「具体を兼備した価値創造と認識の哲学」と再定義する長澤学長にご登壇いただく。全てのプロダクトのコモディティ化が進む今こそ、デザインの本質、重要性に迫りたい。

学校法人武蔵野美術大学 学長 長澤 忠徳 氏  【詳細】

特別対談 「同化と交感」
「なぜ企業向け研修に、田中泯氏が?」という疑問をお持ちの方にお伝えしたい。今回、一番それを不思議に感じていらっしゃるのは、泯氏ご本人だということを。ダンサーである泯氏は、おどりで他者と交わり、地球とつながっている人だ。しかし、その尋常でない「同化」「交感」の在り方は、今まさに我々が見失っている「見えないものを感じ、受け入れる力」「他者に共鳴、共振し、自らを外へと開いていく力」そのものだ。新たな市場、事業をつくるには、見えないものを見、声なき声を聞く力が必要である。泯氏のお話は、賢くなりすぎて硬くなった頭をほぐし、既存の価値観を脱色するための起爆剤になるはずだ。そう確信・熱望して実現した、予測不能な対談である。

ダンサー・舞踊家 田中 泯 氏  【詳細】
アミタホールディングス株式会社 代表取締役 熊野 英介

歴史観・時代観・未来観 

講義 「工業社会の功罪~百年の愚行を直視する~」

「百年の愚行」編集ディレクター 小崎 哲哉 氏  【詳細】

対談式講義 「未来変革に必要な歴史観・時代観・未来観」
私たち人類は高い知能と社会性を有し、限りない発展を遂げている。しかし今一度、その発展と引き換えに失ったもの、今まさに壊れゆくものたちに目を当て、自らの愚かな一面を直視することも重要ではないだろうか。それは決してネガティブな行為ではなく、むしろこれまでの延長線上ではない、持続可能な新たな未来構想のために必要なステップと言えるだろう。ここでは、「百年の愚行」編集ディレクターの小崎氏を招き、未来のための新たな価値観について考察する。

「百年の愚行」編集ディレクター 小崎 哲哉 氏  【詳細】
アミタホールディングス株式会社 代表取締役 熊野 英介

参加企業紹介 

各社15 分の自己紹介
自社ビジョン、社会的存 在意義、コアコンピタンス、所属、参加動 機、現在の課 題 など


※プログラム外 対話会(会場内立食を予定)(約60分)


「創発的思考の学び」

2020年7月11日(土) 10:00 – 17:30 日程調整中
会場:近日中に決定

過去の経験や常識に囚われず、自社自身のポテンシャルを引き出し、新たな価値を創造する手法を学ぶ。
システム思考、デザイン思考、SEDA モデルの基礎を第一線の講師が解説。


 システム思考の学び 

講義 「SDGsを達成するためのシステム思考実践講座」
ワーク 「システム思考による課題解決演習」
システム思考とは、複雑な状況下でさまざまな要因のつながりと相互作用を理解し、もっとも影響を与える構造のツボを見極め、望ましい変化を創り出すためのものの見方である。
問題の見えやすい部分を近視眼的・表層的にとらえるのではなく、大局とつながりの全体像を捉え、根本にある原因、前提、目的を問い直した上で、他の分野や将来への影響を勘案し、効果的かつ持続的な働きかけを考える。システム思考の第一人者、小田氏にその基礎をワークを交え解説いただく。

有限会社チェンジ・エージェント 代表取締役 小田 理一郎 氏 【詳細】

 デザイン思考の学び 

講義 「SDGsを達成するためのデザイン思考実践講座」
ワーク 「デザイン思考による課題解決演習」
デザイン思考という言葉と5 つの段階(観察/ 共感、問題定義、アイデア創出、試作、検証)は聞いたことがあっても、それが通常の業務プロセスとどう違うのかわからない、という人が多いのではないか。真の顧客視点とは何か、顧客自身が気づかない潜在的ニーズをどう掘り起こし、課題設定するのか、デザイン思考の基礎を学びながら、さらに企業の意思・提供価値・ビジョンを明確に打ち出すデザイン経営について理解する。
また、デザイン思考を体験・体感するワークは講義と同じく、経産省・特許庁のデザイン経営宣言のパートナー企業であるロフトワークの多田氏に担当いただく。

株式会社ロフトワーク シニアディレクター 多田 麻央 氏  【詳細】

講義 「デザイン経営事例:事業を通じた「未来価値」の創造」
デザイン経営を実践する企業、ジャクエツは独創的かつ安全な遊具の開発、空間づくりを生業としている。本業を通じて社会全体の未来価値の創造を目指す同社代表の徳本氏に、その経営哲学とリアルな取り組みをお聞きする。

株式会社ジャクエツ 代表取締役 徳本 達郎 氏 【詳細】

 統合的価値創出の本質 

講義 「機能的価値+意味的価値=統合的な価値づくり」の理解
統合的価値創出のためのフレーム「SEDAモデル」は意味的価値と機能的価値、問題提起と問題解決を軸にしたマトリックスで表される。SEDA とは、Science(機能的価値 × 問題提起の領域)、Engineering(機能的価値 × 問題解決の領域)、Design(意味的価値 × 問題解決の領域)、Art(意味的価値 × 問題提起の領域)の頭文字だ。社会が求める価値を提供し続けるために必要なメソッドを、SEDAモデルの提唱者である延岡教授に学ぶ。

大阪大学 教授 延岡 健太郎 氏  【詳細】

※プログラム外 対話会(会場内立食を予定)(約60分)



「コアコンピタンス×社会ニーズ=?」

2020年8月22日(土)10:00 – 17:30 日程調整中
会場:近日中に決定

前半:コアコンピタンスを活かした社会課題解決事業の事例分析。
後半:未来型事業構想のためのバックキャスティング手法の習得 & 自社コアコンピタンスの要素分解。


 事業事例の解説

講義 「豊かな関係性を生み出す“森林× 酪農” の6次化ビジネス」

森林ノ牧場株式会社 代表 山川 将弘 氏 【詳細】

講義 「思想と理想の融合!良品計画の食のデザイン事業」

株式会社良品計画 販売部 カフェ・ミール担当部付部長 河合 祥太 氏 【詳細】

鼎談 「森林ノ牧場から読み解く未来志向型のビジネス設計」
里山の荒廃や希薄化する関係性といった社会課題の解決をテーマに立ち上がった「森林ノ牧場」。その事業コンセプトや事業戦略を深堀しながら、これからの時代に求められる未来志向のビジネス設計について議論する。ゲストは森林ノ牧場のソフトクリームを扱う良品計画カフェ・ミール事業の責任者、河合氏。良品計画はデザイン経営実践企業であり、河合氏はサステナブルな食を通じた社会変革に挑む挑戦的かつ情熱的なリーダーだ。

森林ノ牧場株式会社 代表 山川 将弘 氏 【詳細】
株式会社良品計画 販売部 カフェ・ミール担当部付部長 河合 祥太 氏 【詳細】
アミタホールディングス株式会社 代表取締役 熊野 英介

 バックキャスト手法 

講義 「世界的社会課題・環境制約の将来予測と社会ニーズ」&「変革の予兆~未来を変えるサステナブルビジネス事例」
ワーク 「未来予測からのバックキャストで考える自社の存在意義」
将来的な環境制約や社会ニーズといった情報をベースに、未来の「ありたい姿」に立脚し、そこから現在に立ち戻ってやるべきことを考える未来起点の思考法をワークショップを通じて学ぶと共に、自社の存在意義を見つめなおす。

一般社団法人NELIS代表理事 ピーター D . ピーダーセン 氏  【詳細】

講義 「合宿に向けて:ローカルな社会課題の現状」
長野県立大学の大室教授を迎え、第4 回の合宿に向けたインプットを行う。SDGsで取り上げられる社会課題が濃縮したような日本の過疎地域の現状、合宿地域のポテンシャルと固有の課題、地域課題発生のメカニズム等について解説する。

長野県立大学 教授 大室 悦賀 氏  【詳細】
アミタ株式会社 代表取締役 末次貴英 

※プログラム外 対話会(会場内立食を予定)(約60分)

「地域課題の本質を知る」(1泊2日合宿)

2020年9月11(金)- 12日(土) 日程調整中
会場:近日中に確定

過疎が進む長野県飯山市を訪れ、地元企業や学生との対話を通じ、地域課題の現状と本質に迫る。
2日目は統合的価値創出による地域課題解決のケーススタディを実施。

※詳細は近日中に確定

最終演習「社会ニーズを市場化する」

2020年10月10日(土) 日程調整中
会場:近日中に確定

参加企業のコアコンピタンスの掛け合わせによる創造的事業の企画立案ワーク。

※詳細は近日中に確定

最終発表会「ここに未来がある」

2020年11月21日(土) 日程調整中
会場:近日中に確定

参加企業の役員を招いた事業構想発表会。各発表に対し、役員の方々、参加者、講師陣から講評・フィードバックをいただく。

※詳細は近日中に確定

「堅い意志と柔らかい頭脳」の覚醒を目指して

現代社会では、一つの社会問題の解決施策がさらなる問題を生みだし、複雑に絡み合って根本的な解決をさらに遠ざける事態が起きています。

なぜか?人類が、この惑星が生命体であることを忘れ、便利で快適な暮らしのために目先の困難を近視眼的・局所的に解決して満足し、その永続性を妄信して来たからです。半世紀も前にローマクラブは「成長の限界」で、今日の文明状況を的確に言い当てています。

今や「何が問題か…すら、わからない問題」にもがく私たちは、これまでとは異なる思考のあり方を模索しなくてはなりません。思考形態の変革には長い歳月がかかるでしょう。ただ、「何が問題か…」を探求する「課題発見」への努力を放棄できる状況にないことだけは確かです。

科学(Science)技術(Technology)工学(Engineering)数学(Mathematics)に、Art(芸術)を加えた「STEAM教育」に期待が寄せられるのは、芸術の思考法と態度が、専門分野を超越した人間の「創造性」そのものだからです。芸術は「何を問題とするか?」を問い続ける人間の営為であり、それを支えるのは「創造的思考力」を有する意志と勇気を持った人々です。

武蔵野美術大学は、「堅い意志と柔らかい頭脳」を育んできた90年の伝統ある造形教育を土台に、「創造的思考力の社会化」を目指す「造形構想学部」を創設しています。

その趣旨に沿い「共創型事業実践研究会」に協力し、多様な切り口から創造的イノベーションの実践例とその思考法を学ぶ機会に参画できることに、大きな期待を寄せています。


長澤 忠徳 氏:1978 年武蔵野美術大学卒業後渡英。1981年大学院大学Royal College of Art(RCA)卒業後帰国し、デザインコンサルタントとして国内外で活躍。1999年、武蔵野美術大学教授に就任、2015年より同大学学長。RCAシニアフェロー。

ダンサー・舞踊家である田中泯氏は、その肉体にあらゆる生命あるものを包含し、また無機物をも取り込んで、関係・交感し、同化している。ごみの埋め立て地、“夢の島”でごみが地球と一体になるがごとく。手も足も目も皮膚も、あらゆる身体部位がもとはたった一つの受精卵であったがごとく。

 人の間と書いて人間。自を分けると書いて自分。無限の可能性を持ち、あらゆる関係性によって成立する一つの命をどう使うのか? 泯氏は言う。今、生きるということと自身の身体に距離がひらいてしまっている人が多いのでは?と。言葉でしか物事を表現できない、言葉にできるものしか見えていないのでは?と。

 いつの間にか“賢く” なってしまった頭、でもそこには必ず、マグマのように可能性とエネルギーをたぎらせている肉体がともにある。「寝たきりになっても、おどりは踊れる。ごみにも、犬にも、おどりはある。」少しの笑みを浮かべながらそう語る泯氏に、対談形式でその生命観をお聴きする。

 なお、本プログラムにご参加される方は、機会があれば事前、もしくは事後に泯氏の舞台を観にいかれることを強くお勧めする。あらゆる生命、そして無機物と同化する肉体というものを、自身の五感で感じていただけるものと思う。


田中 泯 氏:前衛的、実験的ダンサー。クラシックバレエ、モダンダンスを経て1974 年独自の表現活動を始め、精神―物理の統合体として存在する身体に重点をおいた「ハイパーダンス」を展開し、78 年のパリ秋芸術祭における『間―日本の時空間』展( ルーブル装飾美術館)においての海外でのソロデビューを果たす。以後、世界中の知識人や芸術家との数々のコラボレーションへと繋がり、その独特のアプローチは形式的な舞台芸術、ダンス、音楽のシーンの枠に収まらない。「踊りの起源」への絶え間ない調査と堅固なこだわりは、日常に存在するあらゆる場に固有の踊りを即興で踊るというアプローチによって、「場踊り」という形で多数継続され、その幅広いダンス歴は現在までに3000回を超える。2002 年には、山田洋次監督の映画「たそがれ清兵衛」にて映画初出演により、以後、数々の国内映画、並びハリウッド映画や韓国映画への出演を重ねている。www.min-tanaka.com

 『百年の愚行』。それは人類が経済発展と物質的豊かさを求めた余りに犯した歴史的愚行の写真を収めた書籍だ。アウシュビッツ、チェルノブイリ、水俣病、密猟、森林破壊、大気汚染・・・。夥しい写真が訴えているのは、人類の愚かさと共に「我々が変われば未来も変わる」という大いなる希望だ。歴史の一端を担い、未来の子供たちにこの地球を受け渡していく現代の当事者として、今こそ、一人一人が自らの命の意味とその可能性に真剣に向き合い、何をすべきかを問うていく必要がある。

 『百年の愚行』の編集ディレクターで、『現代アートとは何か』の著者でもある小崎氏は語る。「あらゆる事象は見えない糸でつながっている。現代において、自社の活動が世界の人々の暮らしや生態系にどのような影響を及ぼしているのか、その実態を知ることは容易ではない。しかしだからこそ、複雑な世界の成り立ちに思いを馳せ、歴史という縦軸と同時代という横軸の両方に学び、良質なインプットからイノベーティブなアウトプットを生み出していく必要がある」「アートの役割は娯楽ではない。多義的な世界のありようを表現し、同時にあるべき世界の姿を想像せしめることである」と。

 一義的な答えを求めず、多義的に歴史と社会を見る目を養うことで、アウトプットはおのずと変化する。本プログラムの第1回において、『百年の愚行』の写真を見ると共に小崎氏のお話を伺うのは、既成観念を脱色し、未来変革を行う希望を実感するためだ。


小崎 哲哉 氏:ジャーナリスト、アートプロデューサー。京都造形芸術大学特任教授。同志社大学講師。ウェブマガジン『REALKYOTO』発行人兼編集長。著書に、人類が犯した愚行を集めた写真集『百年の愚行』(編著)および『続・百年の愚行』、グローバル社会における現代アートの価値を問うた『現代アートとは何か』などがある。

 『百年の愚行』。それは人類が経済発展と物質的豊かさを求めた余りに犯した歴史的愚行の写真を収めた書籍だ。アウシュビッツ、チェルノブイリ、水俣病、密猟、森林破壊、大気汚染・・・。夥しい写真が訴えているのは、人類の愚かさと共に「我々が変われば未来も変わる」という大いなる希望だ。歴史の一端を担い、未来の子供たちにこの地球を受け渡していく現代の当事者として、今こそ、一人一人が自らの命の意味とその可能性に真剣に向き合い、何をすべきかを問うていく必要がある。

 『百年の愚行』の編集ディレクターで、『現代アートとは何か』の著者でもある小崎氏は語る。「あらゆる事象は見えない糸でつながっている。現代において、自社の活動が世界の人々の暮らしや生態系にどのような影響を及ぼしているのか、その実態を知ることは容易ではない。しかしだからこそ、複雑な世界の成り立ちに思いを馳せ、歴史という縦軸と同時代という横軸の両方に学び、良質なインプットからイノベーティブなアウトプットを生み出していく必要がある」「アートの役割は娯楽ではない。多義的な世界のありようを表現し、同時にあるべき世界の姿を想像せしめることである」と。

 一義的な答えを求めず、多義的に歴史と社会を見る目を養うことで、アウトプットはおのずと変化する。本プログラムの第1回において、『百年の愚行』の写真を見ると共に小崎氏のお話を伺うのは、既成観念を脱色し、未来変革を行う希望を実感するためだ。


小崎 哲哉 氏:ジャーナリスト、アートプロデューサー。京都造形芸術大学特任教授。同志社大学講師。ウェブマガジン『REALKYOTO』発行人兼編集長。著書に、人類が犯した愚行を集めた写真集『百年の愚行』(編著)および『続・百年の愚行』、グローバル社会における現代アートの価値を問うた『現代アートとは何か』などがある。

世界のプレイヤーが注目する「システム思考」
~共創のための構造のツボ(レバレッジポイント)の見出し方~

不確実かつ不安定な「VUCA」の時代、企業を取り巻く事業環境や社会環境はますます乱気流に包まれていく。自国ファースト、分断化の圧力が広がると同時に多様性や包摂を重んじるSDGsが推進され、企業もまた、ESG、CSVなど公共善に向かうリーダーシップが求められている。在来型の思考法、すなわち、「境界」内で要素還元する、線形に「目標」に向かう、今起きている出来事に対処する思考法はその限界を露呈し、むしろ分断化と部分最適を助長している。

そこで、注目を浴びているのがシステム思考である。システム思考では、出来事レベルで対処するのではなく、パターンを見出して大局を俯瞰する。そのパターンを創り出す要因のつながりと相互作用の構造を見極め、その根本にある目的や前提を問い直す。そして、レバレッジポイント(小さな力で大きな変化を起こせるポイント)を見出し、システムそのものの変容を促すことでビジョンを実現するアプローチである。また、デザイン思考などイノベーション・プロセスの基盤をなす。

本講座では、システム思考の第一人者である経営コンサルタントの小田氏に、システム思考の基本的な考え方とツールについて、事例を交えて紹介いただく。

システム思考は複雑・不確実な状況下において、大局・全体像・根本を見るものの見方・思考法

システム:2 つ以上の要素がつながって相互に作用し合う集合体

小田 理一郎 氏:米国オレゴン大学経営大学院経営学修士修了。多国籍企業で10 年間、製品責任者・経営企画室長として業務・組織変革の実践に取り組む。米国での起業を経て2005年、有限会社チェンジ・エージェントを設立。人材育成、組織開発、チェンジ・マネジメント等の研修、コンサルティング、執筆等に従事している。

“デザイン” は、企業の意思・提供価値・ビジョンそのもの。
成長企業は今、デザインを経営戦略の中心に据えている。

 2018 年5月、経済産業省と特許庁は「デザイン経営宣言」という資料を公開した。この資料には、『デザインは、企業が大切にしている価値、それを実現しようとする意志を表現する営みである。顧客が企業と接点を持つあらゆる体験に、その価値や意志を徹底させ、それが一貫したメッセージとして伝わることで、他の企業では代替できないと顧客が思うブランド価値が生まれる。さらにデザインは、人々が気づかないニーズを掘り起こし、事業にしていく営みでもある。誰のために何をしたいのかという原点に立ち返ることで、既存の事業に縛られずに、事業化を構想できる。(一部略・編集)』とある。

 イノベーションの本質は「技術革新」ではなく「社会変革」である。社会変革におけるデザイン思考の重要性は、アップル、ダイソン、良品計画、マツダ、Airbnb、IBMなど、デザインを経営戦略の中心に据えている企業群を見れば明らかだ。欧米のある調査では、企業がデザインに投資するとその4 倍の利益を得られるとしており、デザインの効能はすでに世界の常識となっている。

今回は、経産省・特許庁のデザイン経営宣言のパートナー企業であるロフトワークの多田氏に、企業におけるデザイン思考の基礎解説とワークショップを担当いただく。

参考:経済産業省HP:デザイン経営宣言


多田麻央 氏:音大在学中にITスタートアップでのインターンを経験後、2014 年にロフトワークへ入社。新規事業機会の開発に向けたリサーチ、新規事業創出プログラム設計、ワークショップデザインなどのプロジェクトを担当。人が持つクリエイティビティを開かせる場の設計やファシリテーションを模索している。

あそびを通じて子どもと社会の「未来価値」を創造する

 創業100 年を超えるジャクエツは、子どもたちに最高の教育・あそび環境を提供することで、社会全体の未来価値を高めることを目指す企業だ。子どもの可能性を引き出す独創的かつ安全な遊具の開発、空間づくりを通じて「社会課題を解決するクリエイティブイノベーション」を実践。それを叶えているのは、デザイナーや人類学者、異業種企業等との「共創による事業構想」だ。

 ゆるぎない企業理念を掲げ、本業で子どもたちの笑顔と長期的な社会価値を生み出し続ける同社代表の徳本氏に、その経営哲学と具体取り組みをお話しいただく。


徳本 達郎 氏:1963 年、福井県生まれ。1986 年、株式会社若越(現ジャクエツ)入社。06 年より現職。株式会社ジャクエツは1916年創業。幼稚園・保育園施設の設計施工、保育教材や遊具の製造販売にとどまらず、美術館や商業施設などの公共施設にあるキッズスペースへ質の高いあそび空間づくりを提案している。

高度化する顧客ニーズに応える
「機能的価値+意味的価値=統合的な価値づくり」の理解

 システム思考とデザイン思考の基本を学んだあと、最後を締めていただくのは、経営戦略、技術経営の専門家である大阪大学の延岡教授だ。

近年、日本の製造業が直面している問題は、求められるイノベーションの内容が変容している点に起因している。機能の高さや技術スペックなど形式的な「機能的価値」を超えて、消費財であれば、心地よいユーザビリティや心を動かされるデザイン、生産財であればソリューション提案など、「意味的価値」が競争力を左右するようになった。このような暗黙的な顧客価値を創出するために、日本企業は、目標設定も含めて抜本的な変革が求められている。

本講義では、高度なモノづくり技術を活かしながら、新たな顧客価値を創出するためのイノベーションに必要とされる。

要件を明確にしていただく。特に、機能的価値と意味的価値を合わせた統合的な価値づくりを考えるためのフレームワークとして、SEDAモデルを取り上げる。技術的な機能を目指す科学(Science)と工学(Engineering)、顧客にとっての意味と価値を付加するデザイン(Design)とアート(Art)の頭文字である。SEDAの統合的価値を創出するためのマネジメントのあり方を解説いただく。


延岡 健太郎 氏:1981年大阪大学工学部卒業、マツダ入社。88年マサチューセッツ工科大学MBA、93年同Ph.D。94 年神戸大学経済経営研究所助教授。08 年一橋大学イノベーション研究センター教授。18年大阪大学経済学研究科教授。専門は経営戦略、技術経営。主な著作:『MOT[技術経営]入門』『価値づくり経営の論理』。

「豊かな関係性を生み出す “森林×酪農” の6次化ビジネス」

栃木県那須町の「森林ノ牧場」の牛乳は何度飲んでも新鮮な驚きがある。放牧された牛が、季節折々の山の恵みを食すことで、牛乳の風味も年間を通じて移り変わるのだ。一定品質が良しとされる大量生産大量消費型の一般的な牧場とは全く異なる事業モデルなのである。

森林ノ牧場は2007 年、京都市京丹後で産声を上げた。事業コンセプトは『見捨てられたものを商品にし、無関心を関心に変える』と『五感+知覚=記憶に残る事業』。今、日本の里山の多くが、管理が行き届かず荒廃の道を歩んでいる。こうした里山で牛を放牧すると、牛が山を歩き周って地面をならし、下草を食べることで日光が地面に届き、間伐などの作業がしやすくなる。飼育できる頭数は限られるが、自然の餌を食む牛たちは健康で、得られる牛乳はそのストーリー性と美味しさから市場で高い評価を受ける。自然のポテンシャルを活かしたビジネス設計だ。2009 年には那須に事業展開。社会課題解決型のビジネスであり、かつ生産者が加工と流通・販売も行う6次産業モデルとしても注目を浴び、現在年間15,000人を超える観光客を迎えている。訪れた人々は、森林と暮らしの関係や食産業への関心を深めて帰る。牛乳は飲食店などに原材料として提供され、域内の食と暮らしに貢献している。また生産される乳製品は、地域のレジャー施設や飲食店他、無印良品の系列であるCafé&MealMUJI で提供されるなど、那須地域以外にも展開中だ。今回は、代表である山川氏に、仕入れ・生産・出口戦略といったビジネスモデルの設計から今後の事業構想までお話いただく。


山川 将弘 氏:1982 年生まれ。中学時代に放牧酪農に憧れ、東京農業大学で酪農を学び岩手や京都で実践し2009 年に那須町に移住。森林に仕事をつくり「田舎に暮らすをつくる」を目指す牧場として、今後は他地域への展開も計画。

「サステナブルな食」を通じた社会デザインの実践事例

 森林ノ牧場のソフトクリームは、良品計画が運営するCafé&Meal MUJIでも提供されている。その背景には、デザイン経営実践企業としても有名な同社の事業哲学があった。

 “「良品」とは何か?その提供すべき価値とは?” を追求し続ける企業が、疲弊する地域生産者、食文化の衰退、自然資本の劣化といった社会課題にどう向き合うのか。サステナブルな食を通じた社会変革に挑戦する食品事業部のキーマンに、ビジネスデザインのリアルを語っていただく。


河合祥太 氏:複数企業で飲食店の料理長、事業運営、新規事業立ち上げ等を経験し、2017年に(株)良品計画に入社。カフェミール事業部の責任者として、過去や常識に捉われない破天荒な手法で、既存店舗の売上・利益向上、新規出店、他社とのコラボ事業、地域生産者の発掘、社員育成等を手掛けている。

「豊かな関係性を生み出す “森林×酪農” の6次化ビジネス」

栃木県那須町の「森林ノ牧場」の牛乳は何度飲んでも新鮮な驚きがある。放牧された牛が、季節折々の山の恵みを食すことで、牛乳の風味も年間を通じて移り変わるのだ。一定品質が良しとされる大量生産大量消費型の一般的な牧場とは全く異なる事業モデルなのである。

森林ノ牧場は2007 年、京都市京丹後で産声を上げた。事業コンセプトは『見捨てられたものを商品にし、無関心を関心に変える』と『五感+知覚=記憶に残る事業』。今、日本の里山の多くが、管理が行き届かず荒廃の道を歩んでいる。こうした里山で牛を放牧すると、牛が山を歩き周って地面をならし、下草を食べることで日光が地面に届き、間伐などの作業がしやすくなる。飼育できる頭数は限られるが、自然の餌を食む牛たちは健康で、得られる牛乳はそのストーリー性と美味しさから市場で高い評価を受ける。自然のポテンシャルを活かしたビジネス設計だ。2009 年には那須に事業展開。社会課題解決型のビジネスであり、かつ生産者が加工と流通・販売も行う6次産業モデルとしても注目を浴び、現在年間15,000人を超える観光客を迎えている。訪れた人々は、森林と暮らしの関係や食産業への関心を深めて帰る。牛乳は飲食店などに原材料として提供され、域内の食と暮らしに貢献している。また生産される乳製品は、地域のレジャー施設や飲食店他、無印良品の系列であるCafé&MealMUJI で提供されるなど、那須地域以外にも展開中だ。今回は、代表である山川氏に、仕入れ・生産・出口戦略といったビジネスモデルの設計から今後の事業構想までお話いただく。


山川 将弘 氏:1982 年生まれ。中学時代に放牧酪農に憧れ、東京農業大学で酪農を学び岩手や京都で実践し2009 年に那須町に移住。森林に仕事をつくり「田舎に暮らすをつくる」を目指す牧場として、今後は他地域への展開も計画。

「サステナブルな食」を通じた社会デザインの実践事例

 森林ノ牧場のソフトクリームは、良品計画が運営するCafé&Meal MUJIでも提供されている。その背景には、デザイン経営実践企業としても有名な同社の事業哲学があった。

 “「良品」とは何か?その提供すべき価値とは?” を追求し続ける企業が、疲弊する地域生産者、食文化の衰退、自然資本の劣化といった社会課題にどう向き合うのか。サステナブルな食を通じた社会変革に挑戦する食品事業部のキーマンに、ビジネスデザインのリアルを語っていただく。


河合祥太 氏:複数企業で飲食店の料理長、事業運営、新規事業立ち上げ等を経験し、2017年に(株)良品計画に入社。カフェミール事業部の責任者として、過去や常識に捉われない破天荒な手法で、既存店舗の売上・利益向上、新規出店、他社とのコラボ事業、地域生産者の発掘、社員育成等を手掛けている。

未来予測からのバックキャストで自社の存在意義と競争力を考える

 ピーター・ドラッカーの「すでに起こった未来― 変化を読む眼(ダイヤモンド社 (1994/11/1発売))」を読んだことがあるだろうか。不確実で曖昧、かつ急激に変化する現代を生き抜くビジネスパーソンに必要な視座と示唆に満ちた名著である。ここに示されている政治・経済・社会・企業の仕組みと変化をしっかりと見据え、社会課題や環境課題を事業チャンスに転換するためのインテリジェンスを身に着けること。そして社会ニーズを満たすソーシャルビジネスで自社と社会の持続性を高めていくという気概と手法が、今世界中の企業に求められている。

 市場の価値ドライバーが価格から品質を超えて価値観・パーパス(存在意義)へと移行する中、未来の「ありたい姿」に立脚し、バックキャスト的計画手法をマスターすることが、未来市場適応型の競争力を獲得・維持するために必要不可欠となる。

 本講座では、世界のサステナビリティ経営に精通する大学院大学至善館特任教授、ピーター D. ピーダーセン氏を講師に迎え、未来予測データ、機会転換へのアプローチ、パーパスドリブン企業の強み、そして価値を生むバックキャスト手法への取り組み方について、多面的に講義いただく。

<バックキャスト手法>
ある事柄において、目標となるような未来の状態・状況を想定し、そこから現在に立ち戻って“やるべきこと” を考える未来起点の思考法。


ピーター D. ピーダーセン 氏:1967 年デンマーク生まれ。日本在住28 年。1995 年から環境経営・サステナビリティ経営に携わり、2000年に(株)イースクエアを共同創業、2011年まで社長を務める。2015年、次世代リーダーのグローバルネットワーク、一般社団法人NELISを共同創業。2019年、大学院大学至善館特任教授および同大学内のCenter for Sustainability and Innovationセンター長に就任。

大室 悦賀 氏:長野県立大学グローバルマネジメント学部教授・ソーシャルイノベーション創出センター長 京都市ソーシャルイノベーション研究所長

企業セクター,行政セクター,そしてNPOなどのサードセクター,を研究対象として全国各地を飛び回り,アドバイスや講演を行っている。
著 書:『サステイナブル・カンパニー入門』